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新刊情報!「頭でっかち」にならないリフレクションのススメ

2019年1月、出版に関わらせていただいた2冊のリフレクションに関する本が出版されました!

 

1冊目は、

授業づくりネットワーク No.31『リフレクション大全』(学事出版)

畏れ多くも、佐伯胖先生をはじめ素晴らしい執筆陣の先生方と名前を並べさせていただき、

特別寄稿として

「経験学習の落とし穴

 :成長を歪ませないための「コア・リフレクション」のアプローチ」

という文章を掲載していただきました。

(企画・編集等をご担当してくださった石川晋先生、どうもありがとうございました!)

こちらは、早くも重版が決定したそうです。一執筆者として嬉しく、また光栄です。 

 

2冊目は、

一般社団法人REFLECT(学び続ける教育者のための協会)編

坂田哲人・中田正弘・村井尚子・矢野博之・山辺恵理子 著

『リフレクション入門』(学文社)

この本は、

『教師教育学:理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ』

(フレット・コルトハーヘン著、武田信子 監訳、

 今泉友里・鈴木悠太・山辺恵理子 訳、学文社、2010年)

の出版以来、そこに掲載されたコルトハーヘンの特にリフレクション理論に興味を持って研究を重ねてきた、私が心から信頼と尊敬を寄せる先生方と一緒に執筆した力作です。

構想から数えると、出版までに実に3年もの時間がかかりました。

 

今思えば、リフレクション関係の研修やワークショップのご依頼をいただくようになったのが、2014年頃。

以来、このメンバーでもう覚え切れないほどの数のワークショップを企画・開発・実施してきました。

そしてその度に、参加者の方々に気軽に読んでいただけるようなリフレクションに関する日本語の文献の少なさを痛感していました(特に看護教育以外の教育分野で)。

さらに、私たちのワークショップは常にコルトハーヘンの理論を土台にしてきましたので、ドナルド・ショーンなど、すでにいくつかの日本語訳が出ているそれ以前のリフレクション理論との違いを参加者の方々に理解していただく方法を考えるのにも、よく頭を悩ませました。

 

そこで行き着いた答えが、

「文献が少ないなら、自分たちでつくろう」

というものでした。

 

ただ、共著者の先生方とは違って、私自身は論文調ではない、

読みやすい一般向けの書籍の文章を書くことに全く慣れていないこともあって、

「日々進化・発展していくリフレクション理論の何を「基礎」とみて、

 何を「入門」書としての本書に記すのか」

に悩み、考えては書き、考えては書き直し、

原稿の提出締め切りを大きく越えたりしながら

なんとか、なんっとか、担当の

 第1部(理論編)

  2章「コルトハーヘンのリフレクションの方法論」と

 第2部(実践編)

  7章「ヒーロー・インタビュー」

  8章「レンジャーズ・ワーク」

を書き上げました。

 

 

テーマは、冒頭に書いた『リフレクション大全』に寄稿した文章と一貫しています。

端的に言うと、

〈「頭でっかち」にならないリフレクションのススメ〉を書いたつもりです。

 

「自分自身」の「過去」の「経験」について「思考」することに限定されたリフレクションをしていても、

視野の狭い、後ろ向きで表面的な気づきしか得られなくなってしまったり、

自分の弱点を克服することにはある程度成功しつつも、逆に強みがわからなくなってしまったり、

あるいは、ふとある瞬間に自分がなんのために頑張っているのか、目標を見失っていることに気づくことになる可能性があります。

 

どんなに社会に合わせて成長できていても、自分自身がその成長を意味付けできなければ価値はないのではないか。

その成長を自分自身が心から喜べなければ意味がないのではないか。

 

そのような思いに応えてくれるのが、コルトハーヘンの

「自己」と「他者」のそれぞれの視点から「協働的」にリフレクションを行うアプローチであり、

過去だけでなく「今ここ」の状況、および「未来」にも焦点を当てるアプローチであり、

経験だけでなく「自分は何者か」というように「自分自身」にリフレクションのベクトルを向けるアプローチであり、

思考だけでなく「感情」や「望み」にも重点を置くアプローチ

だと私は考えています。

 

成長や経験学習や振り返り、リフレクションのご関心のある方には、

気軽に目を通せる初学者向けの入門書として、

ぜひ手にとってご覧いただけたら幸いです!

 

 

 

※なお、『リフレクション入門』は、

共著者の先生方との出会いのきっかけとなった

『教師教育学』(同上)と同じ出版社の、同じ編集者の方に

お世話になって出版が実現しました。

まさにご縁だなぁ、と思います。

2冊合わせてお読みいただけたら、何よりの幸いです!